草野歩は現役のビーチバレーボール選手として国内外ツアーで活躍していますが、実はコーチング学を学ぶ大学院生でもあります。そして現在は、コーチングの学びを活かし、自分自身を研究対象として、アスリートの「デュアルキャリア」について研究しています。競技引退後から新しいキャリア(セカンドキャリア)にチャレンジするのではなく、現役中から並行して競技とは別の社会との接点を持つことを「デュアルキャリア」といいます。一般的にはまだ馴染みのない「デュアルキャリア」ですが、今回は、彼女がまとめた論文を基に、「デュアルキャリア」がどのようなことなのかをみなさんにもご紹介します。

引退後のアスリートの現状

アスリートが活躍するための支援として、これまで各事業・団体が様々な引退後のキャリア支援促進を行ってきました。引退後にどのような人生を送りたいか、どんな仕事をしたいかを現役時代から選手・コーチともに共有し、備えておく必要があるとしつつも、トップアスリートにとって、それはなかなか困難な状況です。彼らは生活のほとんどをパフォーマンス向上のための努力に注ぎ、大会や遠征などに臨んでいます。その結果、現役中に十分な準備ができず、競技を通して身につけた多くのスキルを、引退後の日常・社会生活に活かすことができない場合が多いのです。

そのような現状を変えるべく、近年世界で注目されているのが「デュアルキャリア」です。EUの専門グループによって承認・公表されたガイドラインによると、「長い人生の一部である競技生活の始まりから終わりまでを学業や仕事、その他人生それぞれの段階で占める重要な出来事やそれに伴う欲求とうまく組み合わせていくことである」と定義されています。それは「競技と学業」「競技と仕事」といった二つのキャリアを並行して行うことで、競技引退後にこれからの人生のキャリアをつくっていくのではなく、現役のうちから行う必要性を提唱しています。

デュアルキャリアを実践して得られること

草野歩が選択した「ビーチバレーボール選手」と「大学院生」との両立もデュアルキャリアの一つです。しかし、アスリートが二つのキャリアを並行して行うということは、それまで競技にかけていた時間を分散することになるため、一般的に考えるとアスリートとしてのパフォーマンスは、低下してしまうのでは?と思われがちです。では、デュアルキャリアを実践するメリットとは何なのでしょうか。

  • 限られた時間の中で練習をするという意識の変化によって、練習や大会に臨む集中力やモチベーションを高める。
  • 競技以外で学んだ知識や経験を、競技の現場でも活用することができる。
  • 「学業」では、新しい知識を吸収し、学習する習慣が身につく。
  • 「仕事」では、競技以外の多くの人と関わることでコミュニケーションスキルが向上する。

これらのメリットは、競技以外のキャリアだけでなく、もう一つのキャリア・競技に対する姿勢や学びにも転換できます。さらに、競技引退後も働く場所の選択肢が増えるなどのメリットが考えられています。

「デュアルキャリア」は「セカンドキャリア」や「副業」と、何が違う?

「セカンドキャリア」「副業」という言葉にもあるように、アスリートがスポーツ選手以外のキャリア(肩書き)を持っていることは、特別珍しいことではありません。では「デュアルキャリア」とは、どんな違いがあるのでしょうか。

セカンドキャリア

「第二の人生における職業」を意味し、アスリートのキャリア支援の一環として、2006年には文部科学省が促進を表明していました。その後、競技現役中から引退後に備える状況が困難であることから、「デュアルキャリア」支援へと変化しています。

副業

メインのキャリアほど注力していない、あくまで「サブのキャリア」をいいます。

デュアルキャリア

「競技と学業」「競技と仕事」のように、どちらも並行して取り組み、どちらもメインのキャリアとなります。

まとめ

草野のように「デュアルキャリア」を経験し、競技引退後のキャリアについて取り組んでおくことは、これから続く長い人生の「ソーシャル・ワーク・ライフ・バランス」を考えるうえで、とても大切なように感じます。
このサイトでは、草野が挑戦しているビーチバレーボール競技についてはもちろん、彼女がアスリートとして日々実践していること、「デュアルキャリア」に取り組む中で感じたことなどを紹介していきます。どうぞお楽しみに!

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